三上みく・慶樹ご夫妻講演
狛江市民協働事業 乳がん講演会「乳がんと診断された時」三上みく・慶樹さんご夫婦体験談のご報告
狛江市乳がん患者会会長の三上みくです。
この度は、狛江市と市民協働事業を行わせて頂きました。
第一部は、「乳がんと診断された時」として、私達夫妻の体験談、
第二部は、昭和医大乳腺外科医・むらさき乳腺クリニック五反田 池田ダニエルズむらさき院長の乳がんに関するご講演を開催し、乳がんを知っていただく事、早期発見と早期治療について、理解を深めて頂くセミナーを開催致しました。
講演会当日は、たくさんの方にご来場、ご視聴いただきまして本当にありがとうございました。
この場をお借りして、改めて御礼をお伝えさせていただきます。
私が乳がんを宣告されてから4年。
講演会の企画が立ち上がったのはその宣告から2年、ちょうど手術直後のタイミングでした。
コロナもあって延期になっていたとはいえ、その頃の自分はまだまだ身体も心も不安定で
皆様に何かをお伝えするには不十分、そして力不足だったと思います。
今回このタイミングの開催となったことは、本当に良かったと思っています。
この4年間は、私にとって、家族にとってこれまでにないスピードで、大きな変化が訪れた月日となりました。
それは、病気と向き合うことだけではなくて、家族と向き合うことや自分自身と向き合うこととなった怒涛の
日々でした。自分という人間を、どこまでも深く、そして多面的に考えずにはいられない状況ばかりが次々とやって
きていたので、目の前のことから逃げずに、ただひたすら向き合うことに精一杯の日々でした。
4年が経ち、ようやくこれまでのことを冷静に、俯瞰的に捉えることができるようになってきて、そして、
経験してきたことが他の誰かのお役に立つのであれば。伝えていきたい、と思えるようになりました。
私たちの経験は、ある夫婦一組のストーリーに過ぎず、誰もに当てはまる話ではないかもしれません。
だからずっと経験談を語ることにどれほどの意味があるだろうか。果たして、本当に誰かのお役に立てるのだろうか。
そんな思いを持ち続けていたことも事実です。
それでもやっぱりやってみよう、お伝えしようと思ったのは、「失ったら取り戻せないもがある」からです。
私は乳がんという経験を通して得たことは本当に多く、結果的に、私の人生は豊かになったと心底思えています。
でも、同時に失ったもの、もう取り戻せないものもあって、時折寂しく、無性に悲しい気持ちになることもあります。
だから、もしタイムスリップしてあの頃の自分に会う事ができるなら、、、。
過去の自分に伝えたかったことをお伝えしていくことで、1人でも多くの女性、そしてそのご家族の後悔を未然に
防ぐことにつながるのであれば・・・・。
そんな思いで、これからも自分ができることをしていきたいと思っています。
講演会は、幅広い年代、そして様々な状況の方々に聴いていただくことができました。
私たちの想像を超えたご感想、反響をいただき、私たちの方が皆様から力強く温かいエネルギーをいただきました。
この講演会が、ご縁のあった方々にとって「自分ごととして考える時間」となったのであれば、何よりもの幸せです。
本当にありがとうございました。
三上みく
講演会を終えて
講演会をご覧になってくださったみなさま、当日の会が終わるまで支えてくれたメンバーのみなさまに感謝します。
手術が終わって約2年半という月日が経ち、今、ようやく当時のことを冷静に振り返ることができるようになったのだなと
講演会を終えてみて気が付きました。
当時は、ひとつひとつの選択を間違えたら、妻を失うかもしれないというハイプレッシャーと共に過ごす日々でした。
支えてくれた仲間の存在なくしては、うまく乗り越えられなかったのではないかと思います。
だからこそ、「今」数年前の私たちと同じように闘っている人の支えに少しでもなることができたら恩返しになるのでは
ないかと思います。
私が妻の闘病を支える中で大切にしてきたこと、学んだことは、
「何より本人の意志を尊重すること」
「常にハッピーエンドから考えること」
「優先順位は自分で決められること」
とにかく必死に過ごしていましたが、今となってはこれもまた自分の人生にとって欠かせない経験となったのだなと感じます。
この様な機会を頂いたことに感謝いたします。
三上慶樹
photo by misaki hanazuka